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私たち日本人は、食事の時に必ずと言っていいほど箸を使う。

 

そんな中、あなたは(自称)サバサバ系OLのA子とのデートに、雰囲気の良い和風居酒屋を選ぶ。料理も酒も言うことない上に、A子も(自称)気さくな人柄に合ったようで満足そうである。腹も気分も満ち、会計するかと考えていた頃だった。

A子が「ごちそうさま!そろそろ行こうか!」と爽快な笑顔であなたを見つめ、手にしたのは今まで使用していた自身の割り箸。バキッ!という爆音とともに割り箸は折れた。そして、あなたの心に芽生えた恋の新芽も折れた。

 

100年の恋も冷ます、怪力アピールの割り箸折り。怪力アピールのためでなくとも、無意識に割り箸を折る方は多いのではないだろうか。

 

 

何故、割り箸を折るのか。

 

いくつか理由があるようだが、その中の一つをご紹介したい。その昔、一度使用した箸にはその人の魂が宿ると言われていた。また、箸を折ることでその魂を体に戻すとも言われていた。

 

では、何故、魂を戻さなければならなかったのだろうか。割り箸がない時代、道中で食事を取る時には、道端に落ちている木の枝を使用していたとされている。その時に使用した木の枝をそのまま捨て行くと、低級な霊や動物霊などに魂を弄ばれ、災いをもたらされる等と言い伝えられていたのだ。そのため人々は、木の枝を折り、魂を体に戻すことで厄介事から逃れていた。現在、割り箸を折ることは、こういった所作の名残であると言える。

 

 

私は、箸、木の枝、それが何であっても、食事をするという行為で唾液が付着したということが重要なのだと考える。

唾液には様々な力がある。DNAや生命エネルギー、薬や毒、神秘的で不思議な力。

 

天に唾する(人に害を与えようとすると、自身に返ってくるという意味)ということわざがあるように、唾は誰かを汚し、害を与えるという行為に用いられる。

その一方で、イエス・キリストは唾をつけることで、盲人の目を治したと言われる。軽傷を負った時は唾をつけておけば治るという言い伝えもある。

 

唾液には人を汚すことも、癒すこともできる力があるのだ。

 

また、魔術や呪いといった類で使用される物にも、よく唾液は登場する。唾液を介して対象となる人物に呪い(まじない・のろい)をかけるためだ。低級な霊や動物霊だけでなく、人為的に魂を弄ばれる可能性もあるのだ。

 

しかし、割り箸折りは礼儀やマナーが悪いという声もあるだろう。私はそういった声も尊重すべきだと思うし、絶対に折るべきだと主張しているわけでもない。

 

ただ、一つだけ、皆様に質問したいのだ。

 

 

Q1.

あなたは自分自身の唾液がついた割り箸を折りますか、それとも折りませんか?

 

割り箸折りの二重奏(デュオ)|アナムー   Sep, 23, 2013

アナムー

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